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ガリアッソ社&LINEA7のテイスティングディナー 序章
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     心にしみる、正真正銘の「ランゲのディナー」を終えました。

    ルーカ・ガリアッソさんは、まだ30歳で3代目ですが、現在は
    まだ父上であるマリオさんがご健在でワイナリーの党首。

    「パパは畑にいるのが大好きなんだ」

    という言葉通り、今もバローロの畑で仕事をしていらっしゃるとか。

    若いルーカさんは、確か95年か96年にアルバの醸造学校に
    入って2000年にボルドーのポムロルとサンテミリオンでの
    研修を終えて、醸造学を修め、2001年からガリアッソ社で
    醸造全般、つまり葡萄耕作と収穫後の発酵熟成、そしてマーケティング
    を司っているガリアッソ社の実質的な中心人物と言えるでしょう。


    その彼が恋人のロミーナさんを連れ添って、インポーター「モナカ」の
    青山さん兄妹と午前11時過ぎにブラヴーラにいらっしゃいました。


    ルーカさんの風貌を一目見て、非常に好印象を持ちました。

    第一印象は「軽くにこやかで寡黙」でしたが、これってピエモンテ人の
    典型ではないかと思います。

    ファッションはとりわけオシャレでもなく、どちらかというとまだ
    学生さんのようなストイックさすらあります。

    地味っていうのは、つまり「媚び」がないってことですね。実に落ち着いて
    いて自然体です。

    やや薄くなった頭髪、髪の色は黒からやや茶色がかった
    チリチリ毛。少し痩せていますが、背が高く、輝く碧色の
    目が印象的です。

    「15年ほど前のはなしですけど、イタリアにおりましてね…」などと
    僕が自己紹介し出すと、興味深げな微笑を浮かべて聞き役に徹してくれます。

    「それでね、今夜のワインなんだけど
    A proposito , i vini che serviremo stasera.........」

    とワインの話になると、身を乗り出してきます。

    「バローロはいつ抜栓したら良いです?
    A che ora apriamo le bottiglie del barolo?」


    と問うと、間髪いれず

    「 30分前でいいよ。 va bene mezz'ora prima」

    ときっぱりとしたお答え。

    おそらくバローロのポテンシャルをご存知の人なら???となる
    かもしれませんよね。伝統スタイルなら「一日〜三日ほど前から」とも
    言われる「世界のバローロ」「ワインの王」ですよ。

    それを生産者自ら「30分前」ですから(^_^;)

    もちろん、早めに開くタイプのバローロという認識があればこその
    生産者ご本人の言葉でもあるので、僕は、 了解です! benissimo!
    とは答えたのですが、数週間前の事前のテイスティングでは6時間ほど
    前に抜栓して、そのぐらいが良かろうと思っていたので、それにもっと
    前に開けるべきと考える人も多かろうとも思うので、意外に生産者
    自ら短時間指定だったのが笑えるというか、面白いな〜と感じたのでした。

    他のワインに関しては「10分前」とのことで(^_^;)、ある意味「気い使わんで
    楽やわ」という感じだったのですが、今思えば、この抜栓時間にも彼のワイン作り
    醸造哲学がしっかりと現れてんな、と。詳しくはボチボチと。


    大阪におけるイタリアワインの殿堂ブラヴーラに来た彼らは、エスプレッソを
    (彼女は紅茶を)飲んで、概ねのタイムテーブルを確認して、すぐに「たんぽぽ」
    に直行していました。

    「タンポポ」さんは僕はお邪魔したことがないのですが、扱うワインは
    イタリアワインのみ!という、神谷大将の名店なのですが、これが彼らの
    日本滞在で初めての「日本食タイム」だったらしく、生産者訪問のタイトさを
    物語っていました。

    インポーターさんとしては滞在時間をフルに有効利用したいはずですし
    イタリア人にとっては、やはり少しは日本の伝統も感じたいはずですし。

    ともあれ、ルーカさんは食事のあとブラヴーラにもどって、アイドル
    タイムの業者向け試飲会に参加され、ロミーナさんは大阪城などを
    見学してからブラヴーラに戻られました。

    その試飲会でルーカさんと話したことについて、触れます。話の脈絡が
    思い出せないので脳裏に戻ってくる順番に箇条書きにしますね。

    1. 試飲会用のワインを抜栓した時、バルベーラ・ダルバの一本に強烈な
    異臭を感じたので、中身をテイスティングしてみると、意外に問題は
    ありませんでした。

    コルクはサルデーニャ産の物を使っているとのこと。でも、明らかに
    コルクと瓶の間に空間が出来る溝のできたコルクだったので、ワインが
    キャップシールに付着してしまい、それが強く酸化、そして酢酸化して
    しまった匂いを放っていたのでした。

    「コルク業者、リサーチしないといけないのでは?
    Bisognerebbe ricercare altro produttore del sughero? 」

    というと

    「 いや、変えるよ。毎年違う業者を使ってるんだ。常に良い生産者を
    探し続けてるんでね。 certo che cambio il produttore! Noi lo cambiamo ogni anno
    per cercare sempre il produttore migliore!」

    と即答するルーカさん。この辺りは質にうるさいピエモンテ人らしさであり、
    向上心と行動力の「やり手」ですね。歳も風貌も違いますがアンジェロ・ガイア
    を彷彿とさせます。

    2. 試飲を終えて、周囲にお客様がいなくなった彼に近づくと、
    どうだった? come hai trovato i miei vini? と聞かれたので、僕は正直に、
    「すごい好きやわ。伝統的なスタイルがベースにあるのも分かるし、
    それでいてコテコテじゃないでしょ? Mi sono piaciuti perchè ho trovato che
    hanno la base a stile tradizionale ma non sono estremamente tradizionali....」

    などと答えると、そう言われて嬉しいよ! mi fa piacere che hai detto così.
    と言ってからは非常に熱い言葉の連なりが怒涛のように押し寄せてきました(^_^;)

    3. 「つまりは、伝統的なスタイルのワイナリーと言って良いよね?」
    Si può definire che voi siete dell'azienda di stile tradizionale, è vero?
    と聞くと、

    「そうだね、伝統は最も大切なものだけど、それだけじゃなくって、新しくするべき
    ところと、そうでないところを選んでいると言えるね。

    うちは、ブドウ品種やスキンコンタクトの時間がすごく長いところは伝統的な
    スタイルだけど、発酵槽がステンレスで温度管理もコンピューター制御されて
    いるところ、熟成樽はすべてフレンチオークの樽を使っているところは
    新しいスタイルだと言えるね。一番大切なのはバランスだよ。

    4. 「伝統と言えば、ジャコモ・コンテルノがいるけど、どう思う?」と聞くと
    「まずワインを評価する上で一番大切なのは、そのワインをブラインドで
    評価することだよ!」と前置きして、

    「最近、生産者たちを中心にして、バローロの品評会をしたんだ。
    15種類ほどのバローロがあって、その中にジャコモ・コンテルノの
    モンフォルティーノがあった。勿論皆ブラインドでテイスティングした
    んだ。

    そしたらモンフォルティーノ、何位だったと思う?

    見事、最下位だったんだよ!!!

    ブラインドをはがした瞬間、みんな騒然として両手で
         頭を押さえて "そんなはずない!偉大な
    ワインじゃないか!"って大騒ぎしたよ!!」


    僕は、あり得そうな話だと思いながらも、込み上げてくる笑いを抑えることが
    できませんでした。というのも、何度かモンフォルティーノを飲む機会を
    もちましたが、まだ「腑に落ちた」ことがないのです。彼らのバルベーラ・
    ダルバは僕の中で最高のバルベーラの一つですし、4年前にはワイナリー
    にも行って現党首のロベルト・コンテルノさんと
    一緒にテイスティングもしたものですが、未だ「分からない」という感覚から
    抜け出せなかったので、このような質問をしたわけですが、バローロの
    生産者たちをしてこの結果か、と。


    天下のリセルヴァ、モンフォルティーノですからね、、、、、、。
    ガンベロロッソのダニエレ・チェルニッリなど、「人類が滅びる時に
    ノアの箱舟に乗せるべき10本のワイン」の筆頭に挙げたワインですから。

    でも、これは決してモンフォルティーノが実は大したワインじゃないと
    言いたいわけでも、時代遅れになりつつある味わいだという事を言いたい
    訳でも断じてなく、エティケッタ=ラベルは我々を「条件づけてしまう」
    ということですね。

    ルーカさんも何度も 「エティケッタを見るとダメになる」
    l'etichetta ci condiziona. と繰り返していました。


    5. 同じく、「ロッケ・デッランヌンツィアータ」(baroloの中でも非常に
    エレガントなバローロができる有名なクリュの名前で、ガリアッソ社の
    3つあるバローロの一つ)のだけのテイスティングもその生産者が集まって
    最近行われたそうです。

    ルーカさんがとても生き生きした目で語っていたのは、その品評会で
    ガリアッソのバローロが名だたる大御所ワイナリーを押しのけて堂々の
    3位になったことと、

    「僕が何よりも満足しているのは、自分のワインに僕自身がネガティブな
       評価をしたことがないことだよ!」

    やはりここでも、ブラインドでテイスティングすることの大切さを感じます。
    これこそが「正当」で「フェア」なやり方だからこそ、反省をしたり自信を
    もったりすることに意味が出てきます。


    6. 「ビオワインについての考え方は?」 と問うと

    「うちは、ビオと認定されていないけど、化学肥料や除草剤は一切使わないし
    天候条件さえよければ、一度も農薬散布をしないで済む時だってあるくらい
    だよ。最近でも何度かのヴィンテージは散布なしで収穫できたくらい!」

    「 ビオであるのとないのとでは、出来上がりの葡萄にどんな差がでるの?」
    と問うと。

     「何も出ないよ!」

    「マ、マジで!?」

    「ああ、何も出ないさ。でも、如何に人体に影響が出ないと言われても
    "鉛"が自分の葡萄に撒布されると思うと嫌じゃないか!」

    知ってるかい?ビオ指定のワイナリーでもヘリコプターで数回の
    農薬散布は認められてるんだよ。それで、ヘリコプターでかなり
    高いところから撒布するんだけど、鉛の濃度が空気中で高まる
       って話だよ。」


    ビオワインって、流行っているらしいんですが、「ある程度安心できる
    が、ワインの質とはあまり関係がない」ぐらいの認識で良いのでは、
    と改めて思いました。

    本当に質を重視している生産者は限りなく有機的ですし、「ビオ」を
    売り上げ目当てに振りかざすこともないですから。


    一方、「ビオ」「有機」をやたらと振りかざす生産者は、あまり僕は
    信頼したくないと思いましたし、今後そう遭遇することもないと
    思っています。

    もちろん質的に好きなワインがたままたビオであれば、それはそれで
    良し、ですけど。

    ルーカさんはビオワインにありがちな独特の動物臭について
    「クリーンな醸造をしていないだけ!」と一蹴していました。

    最近このネタを持ちかけた時のトスカーナの醸造家アルベルト・アン
    トニーニ氏、エミリアのメディチ・エルメーテ社のアルベルト・メ
    ディチさんなども全く同じ言葉で批判していたのを思い出します。


    7. 彼のドルチェット・ダルバは、クリュ=単一畑のドルチェット
    なんですが、その名前が ciabot russ チャボット・ルス というのですが
    この意味を尋ねました。

    「ランゲを訪れたことがあるなら、葡萄畑の中に点在する小さな納屋
    みたいな小屋に気づかなかった?あれがチャボットだよ。

    昔は農耕器具の収納や耕作馬などを雨の時なんかに避難させたりして
    使っていたものだけど、ウチのチャボットはレンガ造りで赤みがかって
    いたからチャボット・ルス、つまり「赤いチャボット」という名前に
       してみたというわけさ。

    今はもうなくなっているけど、そのうち建て直して、ドルチェットや
    ネッビオーロのエティケッタにそのデザインを入れたいね。」


    8. 「醸造コンサルタント」との関係は?

    「とても大切なものだよ。気候が落ち着いている年はいいが
    イレギュラーでどう対処したら良いか分からない時が僕たち
    家族経営のワイナリーには案外多いものなんだ。

    そんな時彼(モリーノ・セルジョ氏)は的確なアドヴァイスを
      くれるからね。

    零細ワイナリーにとってコンサルタントは安心を
    手に入れるためにも不可欠だと思う。」


    9. 最後に「何か挑戦したい新しい試みはある?」

    「スパークリングワインとかデザートワインとか可能性は排除しない
    けど、今は自分自身のスタイルで始めたシャルドネの質を高めたいと
    思う。

    外来品種は、父が90年代に植えたシャルドネで十分じゃないかと思う。
    土着の白葡萄でアルネイスとかファヴォリータとか全然考えないね。

    白ならシャルドネが、僕の好きなスタイルでできる唯一の白葡萄だと
    信じてる。」

    「赤に関しては、これ以上のことは考えられない。国際品種なんて
    論外!ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットに磨きをかける
    以外に何をするというんだ?笑」


    伝統を重んじつつもシャルドネはやる!この強い意思表示に僕は心から賛同
    したいです。


    彼のような、生粋のランゲ人と話していると狭義の「伝統」と「革新」の
    議論がどうでも良いというか、我々消費者側の呑気な議論に思えてきます。

    彼らは、自然という大海原で「質の高いワイン」と「自分たちのスタイル」の
    せめぎ合いを常に闘い、そしてマーケティング戦略という切羽詰まった状況にも
    対峙しなくてはいけない所で生きているのだと思います。

    ルーカさんのガリアッソ社は、これを4人の家族で乗り越えて行くのですから
    これは凄いことです。


    彼と話した時間で、自分がワインを勉強し始めた頃の新鮮な気持ちを
    思い出していました。ランゲ地方に対する畏怖の念を胸に彼のワインを
    ご紹介して行きましょう!

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